110218 カフェ研レポート

レポート「第5回micafe~踊らされずに、踊れ:ダンスとカーニバルの政治学~」 

ホスト   身体メディア研究会
マスター   本江正茂 (東北大学大学院工学研究科)
ゲスト spacer 毛利嘉孝氏(東京藝術大学准教授・社会学者) 
report      micafe第5回は、社会学者の毛利嘉孝さんをお迎えして、私たちの身体が創り出すダンスという文化について考えてみました。 最初に毛利さんがみせてくれたのは、マイケル・ジャクソンのPV。MTVで放送されていたビデオには、実は続きがあって、黒人差別に対する反発のメッセージが込められていたとのこと。歌やダンスという一見無邪気な身体的実践(だからこそ、なのかもしれませんが)に政治的な意図が介入することは、もしかしたらごく自然なことなのかもしれない、と考えさせられました。   このことは、次のイギリス、ノッティングヒルのカーニバルについてのお話とも関連してきます。ダンスをしに集まってきた人達に対して、警察が取り締まり、カーニバルは次第に政治性を帯びていく。元からダンスそのものに政治性があるわけではなく、ただダンスをしに集まってきた人たちに対して反体制的な何かを探ろうとする。そんな視線を感じた参加者が暴徒化し、ダンスはいっそう反体制的とみなされるようになる。いつの間にか体制と反体制の対立軸が創り上げられていく。そのプロセスの中心にあるのはやはり私たちの身体で、身体や身体的実践を介してこのような軸が創り出されているように思われました。  テーブルディスカッションでは、黒人に対する考え方に関するものからダンスの政治性に関するものまで、幅広い疑問や感想が飛び出しました。毛利さんとのやりとりを聞きながら、ダンスやストリートパフォーマンスが自然と纏ってしまう、排除できないある種の政治性というものは、やはりそれが身体的な実践であるということと大きな関係があるのではないだろうか…現在中東で起こっている一連の暴動なども、ネット上のつながりだけでそこまで炎上するのだろうか…ストリートへ飛び出すことで、実はカーニバル的昂揚に身体が取り憑かれてしまったのではないか…そんな考えが頭に浮かんでは消える数時間でした。
    文責:坂田邦子(東北大学大学院情報科学研究科)
開催日時   2011年2月18日(金)18時30分から20時30分
開催告知web   micafe

110218 micafe

告知 「第5回micafe~踊らされずに、踊れ:ダンスとカーニバルの政治学~」 

ホスト 身体メディア研究会
マスター   堀江政広(東北工業大学クリエイティブデザイン学科)
ゲスト   毛利嘉孝(東京藝術大学准教授)
カフェの内容    micafe(ミカフェ)では、みなさんと一緒に私たちの「身体」というメディアについて考えます。今回のゲストスピーカーは東京藝術大学で社会学を研究されている毛利嘉孝さんです。日本のサブカルチャーにおけるダンス文化のルーツを辿りつつ、私たちの身体について考えてみたいと思います。
開催日時   2011年2月18日(金) 18:30-20:30
会場   せんだいメディアテーク 7F goban tube cafe
参加申込方法   500円(ワンドリンク付き)*事前申込不要 お問合わせmicafe22@gmail.com (坂田/東北大学大学院情報科学研究科) 
開催告知web   micafe

101119 カフェ研レポート

レポート「第4回micafe~HAPTICな音楽~」 

ホスト   身体メディア研究会
マスター   坂田邦子(東北大学大学院情報科学研究科)
ゲスト spacer 佐野芳彦氏(作曲家)
report   micafe第4回は、作曲家の佐野芳彦さんをお招きして、『HAPTIC(触覚的)な音楽』というタイトルのもと、音楽と私たちの身体についてお話頂きました。 佐野さんは、まず最初に、独自に開発した「サウンドセル(SOUNDCELL)」というしくみについてご説明下さいました。サウンドセルとは、様々な情報を音楽にするための新しい音楽の単位で、たとえば、「明るい/暗い」「静かな/うるさい」「甘い/苦い」「嬉しい/悲しい」など、私たちの身体が感じることのできる様々な情報を用い、アレンジを加え、「音」を「音楽」に創り上げていくことを可能にします。 このサウンドセルは、私たちの五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)+1(と佐野さんは言います。いわゆる「第六感」的な感覚のことです。)を音楽にしてくれます。例えば、色。紅梅色の音、芥子色の音、微妙な色合いの音色をつなげていくと、目にも鮮やかな音楽となります。また、深い味わいのフランスのボルドーワイン、爽やかな香りのカリフォルニアワイン、飲んでいないワインを表現した音楽を聞くだけで、嗅覚と味覚が刺激され、テイスティングをしているような気分になります。さらにサウンドセルは、医学や歯学の現場への応用が始まっているそうです。 佐野さんのお話のあと、参加者は思い思いにサウンドセルの活用の方法について考えました。あらためて音楽と身体のつながりについて深く考えた数時間でした。
    文責:坂田邦子(東北大学大学院情報科学研究科)
開催日時   2010年11月19日(金)18時から20時
開催告知web   micafe

101029 カフェ研レポート

レポート「第3回micafe~手応えのある環境、他者の居る都市~」 

ホスト   身体メディア研究会
マスター   堀江政広氏(東北工業大学クリエイティブデザイン学科)
ゲスト spacer 鈴木毅氏(環境行動デザイン研究)
report   micafe第3回は、大阪大学大学院工学研究科の鈴木毅さんをお招きして、都市空間における人の「居方(いかた)」についてお話頂きました。最初に見せて下さったのは、ご自身で撮影されたたくさんの写真やビデオでした。世界中の公園や都市空間、建築物のなかに様々に「居る」人々。その居方は、国により、文化により、そして空間により、それぞれに異なります。また、環境にぴったりと寄り添うように居る人々は、それ自体が環境の一部として認識され、見せて頂いた写真はどれもそれ自体が一つの絵のような完成した空間として映し出されていました。次に、鈴木さんは知覚心理学者ギブゾンのアフォーダンス理論から、行動や視覚の変化による自己と建築物の関係性の変化について、「手応え」という言葉を用いてわかりやすくご説明下さいました。そして、それと同様、ある空間における自己と他者との関係についても、他者の「居方」、またそれを認知することが、自己の「居方」や環境そのものに対する認知に関わってくるのだとお話下さいました。その後、参加者は、鈴木さんのお話をもとに、各テーブルごとに熱い議論を交わしました。普段何気なくとっている行動やふるまいは、実はその空間や環境と切り離して考えることができないこと、都市や建築はそこに居る人々との相互作用により認識されること、多くの気づきと学びを頂いた数時間でした。
  坂田邦子(東北大学大学院情報科学研究科)
開催日時   2010年10月29日(金)18時から20時
開催告知web   micafe