明日から見過ごしてきたもの展がはじまります。

おはようございます!企画、広報の伊藤です。

会期前の準備でおおわらわの日々で久々の更新になってしまいました。

そんな見過ごしてきたもの展もいよいよ明日からはじまります!

バナーがメディアテークの1階にどーんと取り付けられました。会場の6階での設営作業も今日が最後です。殆どの作品が並び、1年半あまり市民キュレーター企画室で考えてきたものが実際に置かれた光景を見ると感慨もひとしおです(写真でお見せすることが出来ないのが残念です)。

是非直接足をお運びください◎

以下詳細になります。

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【見過ごしてきたもの】展
開催日時:2月25日(月)~3月4日(月)午前11時~午後8時
※2月28日(木)はせんだいメディアテークの休館日です。
会場:せんだいメディアテーク 6階ギャラリー4200
入場料:無料
主催:公益財団法人 仙台市市民文化事業団
企画:市民キュレーター企画室
助成:財団法人 地域創造
協力:東北文化学園大学、全部・穴・会館 <ホール>、米村知倫
フライヤー作成:伊藤文具店

出展作家略歴
臼井良平
1983年静岡生まれ、東京在住。モチーフの持つ飄々とした存在感や素材の質感を手がかりに制作をつづけ、近作ではプラスチック容器の形態をしたガラス彫刻を発表している。主な展覧会に個展「PET(Portrait of Encountered Things)」(2012年無人島プロダクション)、グループ展「RYUGU OVER!!」(2012年 竜宮美術館)など。

加藤 泉
1969年島根県生まれ。1992年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。自分自身の指を使った油彩画を中心に制作を進めてきたが、2004年より直彫りの木彫の制作も始める。2007年ヴェネツィアビエンナーレに出品するなど、東京都現代美術館、国立国際美術館、箱根彫刻の森美術館等、展覧会に多数参加している。
毛利悠子
1980年生まれ。美術家。独特な機械構造を用いて展示環境全体を有機的かつユーモラスに構成するインスタレーションを制作。大学在籍時よりエリック・サティの作曲作品をモチーフにして環境音をピアノの楽曲として再生成する「Vexations」を国内外で発表。「トランスメディアーレ2006銀賞」を受賞。2012年には、東京都現代美術館のブルームバーグパビリオンにて『サーカス』を展示。

坂口恭平
1978年熊本県生まれ。建築家、アーティスト。早稲田大学理工学部建築学科卒業。卒業論文として発表した路上生活者の家の調査が、『0円ハウス』という写真集としてリトルモアから出版される。坂口恭平を追ったドキュメンタリー映画『モバイルハウスの作り方』が2011年に上映された。2011年5月、新政府を樹立し、初代内閣総理大臣に就任。最新の著作は『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書)。

L PACK
バックパックに詰めた道具を様々な場所で開封し「コーヒーのある風景」をつくりだす。作品は廃旅館を複合施設にコンバージョンした「竜宮美術旅館」(横浜/2010-2012)や、公共施設内に公園をつくるプロジェクト「L AND PARK」(東京/2011-2012)などがある。現在埼玉県北本市にて、暮らしながら建物に手を加えていく建設的なプロジェクト「OUR ATELIER HOUSE PROJECTS」を進行中。

予約・お問い合わせ:
市民キュレーター企画室  Curators’house
Mail:curators.house.s@gmail.com
HP:http://www.smt.jp/callresponse/exhibition/

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伊藤

モバイルハウス&0円ハウス 制作ワークショップのお知らせ

こんばんは!企画、広報の伊藤です。

いよいよ開催が近づいてきた【見過ごしてきたもの】展ですが、関連企画として今週末にモバイルハウス&0円ハウス 制作ワークショップを行います!

今回のワークショップでは、【見過ごしてきたもの】展参加作家である建てない建築家、坂口恭平が考案したモバイルハウスと路上生活者の0円ハウスを図面をもとに自分たちで作ってみます。そして、自分の手でものを作る体験を通して、「住むとは? 暮らすとは? 生きるとは?」ということについて考えてみたいと思います。

ワークショップで作ったモバイルハウスと0円ハウスは市民キュレーター企画室が企画する『見過ごしてきたもの展』で2月25日~3月4日までの間せんだいメディアテークに展示されます。

年齢、職業問わず、様々な方のご参加をお待ちしています。DIYで一緒に家を作ってみましょう!

尚、開催日時は10日の9時から17時までと長時間ですが、出入り自由なので来られる時間にいらしてくだされば大丈夫です◎また、会場で使わせていただいている東北文化学園大学は仙山線国見駅から歩いてすぐのところにあります。是非、お気軽にご参加ください。

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開催日時:2月10日(日)9:00~17:00(出入り自由)
場 所 :学校法人 東北文化学園大学
集合場所:東北文化学園大学の南入口
参加費:無料
予約・お問い合わせ:
市民キュレーター企画室  Curators’ house
Mail:curators.house.s@gmail.com

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◎おまけ◎

先日モバイルハウス制作用の資材を買いに行ってきました。

買出しを行ったのは泉にあるホームセンター。

通常の家はともかく、モバイルハウスの材料は、ここで売っているものだけで集められました!

それにしても、本当に色々な資材があるのですね!コール&レスポンスのメンバーである建築士の泉田さんに屋根ならこの材がいい、床にはこの材がいい、など色々アドバイスをもらいながらモバイルハウスの材料を買いました。図面をもとに材料を割り出し、この材料がどこどこに使われるのだな、と考えながら選んでいるとこれからモバイルハウスをつくるのだなー、と実感が沸きます。そしてこうやって考えて材料を集めていけば自分でも家が作れるのだなー、とちょっと自信もつきました◎

写真は買った資材をレジで清算しているところ。木材は大きな荷台2つ分、細々したものもいくつか買い、結構な量になりました。

これを切って、組み立てていくととモバイルハウスが出来るわけで、そう思うとわくわくします。ワークショップ当日が楽しみです。ご都合のつく方、是非一緒にモバイルハウス作りましょう~!

伊藤

タイトル決め大会

こんにちは

広報/企画担当の伊藤です。

昨日は定例のミーティングとは違い、展覧会の顔となるタイトル決めを行いました。

今までなかなか案が出なかったのでこの日は連想ゲーム、ブレインストーミングなどをしながらホワイトボードを3つも使ってああでもないこうでもないと皆でタイトルを考えました。

ふざけ過ぎていて絶対タイトルにはできないだろうけれど思わず噴出してしまうような案も。。。個人的にすごく気に入ったボツネタがあったので、本タイトルが決まった暁にはそちらも紹介したいです。

最後にはタイトル案が絞られました。それをどんな表記で表すか、副題をつけるか等等今後も話し合っていこうと思います。

渾身の(?)タイトル、お楽しみに~。決まった背景など思いをめぐらせてもらえると嬉しいです◎

今日もC&Rミーティングです。参加作家さんが仙台にいらっしゃってミーティングするのでドキドキ!

 

伊藤照手

10月24日(水)活動報告

こんにちは

広報・企画担当の伊藤です。

ちょっと遅くなってしまいましたが今週行われた会議の報告です。

今回はメディアテークスタッフと市民キュレーター企画室との合同ミーティングが行われました。

「市民キュレーター企画室」というのは、コール&レスポンスのワークショップに集まったわたしたちのことです。展覧会をするにあたり、企画を行う私たちの団体名を決めよう!ということになり、この名前になりました。

という報告も遅くなってしまいましたね。これにあわせて市民キュレーター企画室という名前で名刺も一人一人作りました◎

この日は市民キュレーター企画室のメンバーが作家さんとのやり取りについての進捗報告をし、会期中に行うイベントについてメディアテークのスタッフの方々に相談しました。

メディアテークのスタッフの方たちとは2週に1度くらいのペースで合同ミーティングを行っています。市民キュレーター企画室のメンバーの多くがキュレーションというものをしたことがないため、作家さんとのやりとりの仕方や展覧会全体のテクニカル的部分にアドバイスをもらいながら企画運営を進めています。

 

合同ミーティング後は市民キュレーター企画室のメンバーのみで予算についての話し合い。

○○するには××が必要でそれを揃えるには△△くらいかかる、それを予算内でどうやりくりするか、ということを今まで色々考えてきましたが、今回の会議で大体の予算がフィックスされたようです。

私は学生なのですが、こうした作業は普段あまり行わないのでとても勉強になっています。仕事柄、こうしたことが得意なメンバーがいるので、毎回彼女たちにいろいろ教えてもらいながら進めています。

市民キュレーター企画室のメンバーは「はじまりとして」にあるようにみんなそれぞれ普段やっていることが違うので、色々な場面であの人が!この人が!と頼りになる人がいるのです。

私も学生という身分?を活かしてゆきたいと思います◎

では、今週の報告はこの辺で。

伊藤照手

10月17日 活動記録

こんばんは!伊藤です。

秋も深まって風が少し冷たくなってきましたね。

コール&レスポンスの企画のほうもぐんぐんと深まりつつあります。

参加作家さんとの交渉が全員はじまり、進度はまちまちですが、直接会って話しに行ったり電話やメールのやりとりをしたりして毎回のミーティングで報告が行われています。

まだ本契約(書面での契約)がすんでないので名前を出すことはできないのですが、様々なジャンルの作家さんたちが揃っているので面白い展覧会になりそうです。

写真はミーティング風景。コールアンドレスポンスが始動したのが去年の6月なのでメンバーとはもう1年以上の付き合いになります。毎週和気藹々(たまには喧々諤々?)と話し合いを進めています◎

11月から広報も本格的に始まるのでその際はブログでも詳細を載せたいと思います。どうぞお楽しみに!

伊藤照手

9月26日 活動記録

久しぶりの投稿です。

ブログ全く更新できていなかったのですが、その間も毎週1,2回きちんとミーティングはしていたのです。昨日の会議では広報(主にブログ)についても話され、今後定期的に更新していこう、ということになりました。また、これまでの簡単な議事録もアップしていく予定ですのでよろしくお願いします◎

さて、昨日は様々な団体がスタジオを使っていたためにいつもスタジオではない場所に机と椅子を設置してもらい会議をしました。前回くらいから「コール&レスポンス」のボードができて(写真)外からも私たちがどんな団体か分かるようになりました!

だんだんと展示内容も決まって参りまして、只今担当者ごとに参加作家さんとのやりとりが行われています。昨日は作家さんとのやりとりの内容を皆で共有し、予算のやりくり(?)を色々と協議しました。

最近はぼんやりとしていた展覧会像が現実味を帯びて来ているというか(ずっとぼんやりしているままでは困るわけですが)、自分たちで展覧会を作っているのだなーと実感しつつある今日この頃です。今後も頑張ってまいります!

では今回はこんなところで。またの更新をお待ちくださいー!

伊藤照手

第一回てつがくカフェ

タイトル:震災と文学―「死者に言葉をあてがう」ということ

2011年6月18日にメディアテークで行われた第一回「考えるテーブル てつがくカフェ」。震災後、仙台という地で展覧会を企画するということがどういうことなのかを考えていく上でも、さまざまな人とのやりとりが行われるてつがくカフェは欠かせないものであると感じています。この日のてつがくカフェは今からもう約1年前のことになるのですが、その頃の会場の雰囲気や、そこでやりとりされた言葉などを振り返ってみたいと思います。

てつがくカフェはじまりはじまり

てつがくカフェとは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、そもそもそれって何なのかといった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら、「哲学的な対話」を通して自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験しよう、というもの。

ファシリテーター西村さんによる説明

仙台では2010年からてつがくカフェ@せんだい(http://tetsugaku.masa-mune.jp/index.html)が企画するてつがくカフェの場がありましたが、震災後、人が集い語り合いながら復興や地域社会、表現活動について考えていく場としてできたせんだいメディアテークの考えるテーブル(http://www.smt.jp/thinkingtable/?p=11)において、震災という事象を様々な視点から考えるてつがくカフェが始まりました。6月18日に行われたてつがくカフェはその第一回目。震災から100日が経っていました。

この日は初めに石巻出身の作家、辺見庸氏のビデオを見ました。彼の<震災>以降の詩作活動(<震災を書く>という試み、「死者にことばをあてがう」という営み)から見えてくるものをものに、<震災>に臨む文学に化せられた責務やその可能性などについて参加者間でいろいろと考えてみよう、とビデオ鑑賞後、参加者の人たちの間で意見交換がなされました。

辺見庸氏の映像を見ています

ビデオや詩作のなかで、辺見庸氏は自分の地元である石巻で起きた津波の映像を見ていて、言葉を失ってしまった、と言っていました。そして、その破壊の大きさ、絶大なダイナミズムに驚く一方で、被害を数字によってしか表現できないテレビなどのマス・メディアに対する不信感を顕にしていました。彼は私たちが<震災>に対して言葉を持ち合わせていないこと(失ったのではなく、そもそも持っていないこと)に強い危機感を持っていました。また、物理的復興だけでなく、私という個に見合う外部に対する新しい内部・内面を各々がこしらえることが希望につながる、とも言っていました。

こうした話を受けて、参加者の方からも色々な意見が出ました。震災後、様々な場所で目にする、耳にする「がんばろう」「思いやりを大切に」というスローガンは平易で一般化されており、今まである言葉に当てはめるだけでなく、個別の言葉を個別の体験から探っていく必要があるのではないか、という意見や、自分も被災はしたが、三陸の人のことを考えると語ることに罪悪感や無力感を感じてしまう、という意見。震災が大きすぎて自分がどう悲しんでいるのか感じることができない、という意見や震災によって自粛の雰囲気が日本全国にあったが、自分の言葉で自分の現実を生きている人がいて励まされた、という意見。

会場にはたくさんの参加者が。

参加者からは様々な意見が出されました。

 

初めててつがくカフェに参加した私はこうした参加者の切実な思いがたくさんあることに驚きました。また、参加者の人たちはこうした自分の実感や思いを公の場で語ることを切望しているように思えました。この後、震災後てつがくカフェを続けていく中で、参加者の語ることに対する熱意は少しずつ変わってきたように思えますが、この日の参加者の人たちのてつがくカフェへの関わり方には目覚しいものがあり、こうした市民が仙台にいることの凄さを感じました(県外からの参加者の方もいましたが)。そして、私自身もこの時、てつがくカフェという場において、生身の人たちが発する言葉を聞くこと、自分の言葉を話すことができて、そしてそれを受け止めてくれる人たちがいることで、何か救われたような気持ちになりました。こうして、自分以外の他者から出された意見をしっかりと受け止め、<震災>と言葉について考えるてつがくカフェは、コールアンドレスポンスというチームで企画を練っていく過程においても重要な要素となると思います。

これからのてつがくカフェにつないでいくためのものとして、この日のてつがくカフェの場で紡がれた言葉が、以下のようなキーワードとして提示されました。そして、これらのキーワードは実際に後々のてつがくカフェのテーマとなり、話し合われました。

・震災を語ることへの罪悪感、負い目⇒「てつがくカフェー震災を語ることへの<負い目>?」(http://www.smt.jp/thinkingtable/?p=827

・当事者とは誰か⇒「震災の〈当事者〉とは誰か?」(http://www.smt.jp/thinkingtable/?p=1663

・自分の言葉で語るとはどういうことか

 

様々な声が黒板に書かれていきます。

 

このてつがくカフェがあってから早1年が経とうとしていますが、震災についての様々なテーマについて、距離を置きつつ対話をするてつがくカフェは現在でも月に一度の間隔で継続して行われています。

伊藤照手

参考URL:http://www.smt.jp/thinkingtable/?p=594

後々田さんレクチャー

8月14日。「キュレーターによる展覧会についてのレクチャー第2回目」として、大阪で「梅香堂」(http://www.baikado.org/docs/home.html)というオルタナティブ・コマーシャル・ギャラリーを運営している後々田寿徳(ごごだ・ひさのり)さんのレクチャーがありました。

後々田さんは「日本のポップ ──1960年代」(福井県立美術館、1992)、「世紀末マシーン・サーカス(SRL日本公演)」(ICC、1999)、「E.A.T. ──芸術と技術の実験」(ICC、2003)などたくさんのプロジェクトを企画してきた方です。私は一つ一つの企画について知らなかったのですが、それぞれ思い入れがあるようで、事細かに話していただいたおかげで現代美術の世界の一端を垣間見れた気がしました。

後々田さんが今まで携わってきた展覧会について

中でも面白かったのが、「世紀末マシーン・サーカス(SRL日本公演)」の話です。

SRL (Survival Research Laboratories)はアメリカのパフォーマンスグループで、「巨大マシンやロボット互いに戦わせ、あたりを破壊しつくす」ようなことをしているのだそうです(ざっくりですみません、HPがありました→http://www.srl.org/index.html)。彼らのビデオを見てこれを日本でもやりたい、見てみたい、ということで後々田さんたちは「世紀末マシーン・サーカス」の公演を企画したのだそうです。当日会場となった代々木公園では、巨大ロボットが火を噴き、モニュメントが炎上し…、とSRLのはちゃめちゃなパフォーマンスに誰もが驚かされたようです。

SRLについて楽しそうに語る後々田さん

これだけだとどんなことが起こっていたのかさっぱり意味が分からないと思うのですが、ただ、ビジュアルとイメージが強烈で、どうしてそんな企画が成り立ったのか、成り立たせるまでの冷や汗したたる苦労話など(消防法の申請など準備がものすごく大変だったそうです)いろいろ聞けて面白かったです。

今回、「キュレーターによる展覧会についてのレクチャー」ということで来ていただいた後々田さんですが、自身はキュレーターではなく学芸員を名乗っているそうです。キュレーターの人が既成のハコ(美術館や博物館)の外で展覧会をオーガナイズするのに対し、学芸員というのはハコに対する責任が重いのだそうです。また、キュレーターはキュレーター自身のアート性が高くなり、自分のアイディアを実現させる為に作家を素材として並べて展覧会を企画する傾向があるけれど、自分は「モノにモノを言わせる仕事」をする学芸員に近く、作家の作品の為の黒子に徹しているとおっしゃっていました。

そして、これまで様々な企画をしてきた中で、後々田さんが大切にしているものを聞いたところ、究極は自分がそれを(その企画展を)本当に見たいか、という動機であるとおっしゃっていたのが印象的でした。もちろん学芸員をやっていれば仕事なので全部が全部自分の好きな事を出来るという訳ではないのだそうですが。

こうした考え方は今の後々田さんの活動にも繋がっているように思います。

後々田さんは2009年に梅香堂というオルタナティブ・コマーシャル・ギャラリーを立ち上げました。それまで、福井県美術館やICCといった「大きな組織」に属して活動していたことから、リスクを背負ってインディペンデントでやっている人たちに対する後ろめたさがあったそうです。また、組織にいることで自分がいいと思っているものを見せられなくなり、ルーチン化する仕事から離れたいと思うようになり、自分が本当にやりたいことを自分のお金で責任を持ってできる梅香堂を始めたのだそうです。とはいえ、一つの施設を一人で運営する、というのは簡単なことではないわけで、知人には「無謀な試みだ」とも言われたそうです。

梅香堂について語る後々田さん

後々田さんは自分の好きなものに素直で、それをやる為なら多少無茶をしても自分の責任でやり通そうと腹を決めているようで、そのありようがとてもかっこいいと思いました。「公共性」という言葉をよく聞きますが、美術の世界でも社会貢献や社会的広がりといった「公共性」が前提になることが多いのだそうです。しかし、文化活動において公共性を第一義とすると、主体性が消え責任の所在もあやふやになるリスクが伴う、と後々田さんはおっしゃっていました。公共性は、見せるという行為の先に結果的に獲得されるものであって、それが逆ではいけない、と。

震災以降は特に、「公共性」を掲げた様々な活動を目にすることが増えました。私自身もそうした活動をすべきなのかな、と思ったりもしましたが、「『みんなのためにやる』というぼんやりしたものではなく『自分がこれをやりたい』からこそ自分がそれに対して責任を持ってやる。結果的にそれを楽しんでくれる人がいたらいい」そうした後々田さんのスタンスに、背中を押される思いがしました。これからコール&レスポンスで企画展を考えていく上でも、自分が本当にやりたいことは何なのか、という本質を見失わないでいきたいと思いました。

会場の様子1

会場の様子2

質疑応答の様子

伊藤照手