シニアとパソコンの未来

アクティブシニアゾーン記念対談 シニアとパソコンの未来

対談風景01
撮影 馮 学敏
仙台市東京事務所にて

■70代の初心者にもわかりやすい雑誌を目指してー加藤
臼倉 登貴雄氏
▲臼倉 登貴雄
臼 倉
「御社の雑誌の中に加藤さんの78歳のお父さんのことが書いてありましたが、頑張っていらっしゃるじゃないですか。」
    加 藤「父たちは一番楽しい時期を戦争で奪われているんですね。満州から引き揚げ、仕事もない子供と遊ぶひまもなかったという世代です。もっとわかりやすいパソコン雑誌をつくってほしいという要望が引退まぢかのビジネスマンや、引退してからパソコンをはじめたという読者からも寄せられたので、新しいパソコン雑誌をつくろうという企画をしたときに、父のような人たちにも喜んでもらいたいという思いはありました。
臼 倉 「シニア情報生活アドバイザーという制度ができてもう1年になるのですが、多くのシニアの方がパソコンを使うようになってきましたので、お互いに支援しあえるような仲間づくりが必要なのではないかと思ってやっているのですが、こうした活動は3年前くらいから一挙に増えてきています。今のシニアはお金を持っているし、お金だけじゃなく時間もあるんですね。それともうひとつは元気なんです。70代中盤くらいまでシニアと自覚がないぐらい元気ですよ。」
加 藤「父も元気で、耳が遠くなることにショックを受けていますよ。確かにお金もあって、時間もあって、やりたいこともあって、知力もあります。どこかで体力的なことを補えるものがあれば、すばらしい生活ができそうですね。」

■パソコンに関わるきっかけとしての「シニアネット」を拡げたいー臼倉
臼 倉「そうですね。パソコンは誰にでもできるし役に立ちますよね。パソコンやインターネットを知るきっかけがあればすぐに入っていけますよね。我々がやっているアドバイザーもそういうきっかけづくりをしていこうかと。そうすると急激に伸びると思います。」
加藤 栄氏
▲加藤 栄氏
加 藤「何が一番のきっかけですかね?」
臼 倉
「仲間づくりです。いろんなカルチャーセンターとか地域の公共施設、生涯教育センター、公民館とかでもいろいろやってますよね。そういうところに来る人たちというのは勉強したいとか、何か覚えたいとか、趣味をやりたいとかありますけれども、基本的には仲間がほしいんです。楽しくみんなでやれるということですね。終わった後呑みに行くとか、どこかに旅行に行ったりしています。」
加 藤「男の人もそうなんですか?」
臼 倉「みんなそうですよ。」
加 藤「男性の孤立が深刻なんじゃないかと思っていましたが。」
臼 倉 「今まではそうでしたけど最近は違ってきています。男性もかなり盛り上がっていますよ。そういうところでメーリングリストとかを使って情報を活用しています。 そうするとまた違う広がりが出てきますよね。そういうグループがでてきて、それを我々は「シニアネット」といってるんですが、それもかなりあちこちでできています。特に今年一番やりたいのはIT講習をやった後の受け皿がないので、受講したシニアがサークルをつくって何かをやるのを支援するということです。」

■生涯現役を可能にするパソコン・インターネット
加 藤「リタイアした後の生活を楽しむという考え方と同時に、もう一回別 な形で社会に加わる、あるいは仕事を死ぬまで続けたいという人がいるんじゃないかと思います。別 に定年までとかではなく、役職がほしいわけでもなく、とにかく最後まで社会参加していたいんだという欲求があるという声も聞こえてくるので、そういう雑誌もいいなと思います。」
臼 倉 「意欲や希望はありますよね。去年国民生活白書で発表されましたけれども、だいたい4人のうち3人くらいは社会のために何かやりたいという結果 がでてます。ところが実際にやっているのはその中の4分の1なんです。だからチャンスさえあればやりたいということなんですね。」
加 藤 「それを阻んでいるものは何なんでしょうか。」
臼 倉 「どういうメニューがあるのかわからないんです。自分に何ができるのか、困っちゃうんでしょうね。今までは社会に関わるということは働くということだったじゃないですか、現役のときは。働いていい成績をあげる。そうではなくて違う生きがいをもって、ボランティアとかで人のために関わっていく、これが私達の一番やりたいことなんですね。新しい社会参加をする方法、そのひとつがパソコンでインターネットをするということです。それをスタートにしていろいろな情報網をつくれるし、やりたいことも見つけられるし、そういう利用の仕方をしたいと思います。それがシニア情報生活アドバイザーとして一番考えてなくてはいけないことです。もうひとつは社会参加もただボランティアをするのではなくて、チャンスがあればもう一度起業してもいいんじゃないか、それから働けるのであれば大いに働いてもらえばいいんじゃないかという考えです。」   

■シニアはインターネットのヘビーユーザー?
臼 倉「インターネットは社会参加のひとつとしての側面はありますけど、もうひとつは今の人たちが一番熱心なのは生涯学習なんです。インターネットを活用して生涯学習ができればいいなというのがテーマなんですね。今度ヤフーで大学の講座を有償ですけれども出すということを聞いて、やっぱり考えてるんだなと思いました。」
加 藤「文部科学省でもインターネットで学んだ単位を認めるという動きが出てきていますよね。それが働く人にとっても、シニアにとってもとてもいいことですね。日本人は学ぶのが好きですよね。役立つとか便利ということの本質とは何かというと、幸せになることだと思います。そのためにインターネットやパソコンを使って欲しいですよね。パソコンは最初は知らない者にとっては苦痛ですよね。だけど、例えばインターネットとか、家と会社で通 信ができることがわかると、会社へ行かなくてもいいんだとびっくりしました。学校まで行けない人でも学ぶことができるんですよね。」
臼 倉「ヤフーの掲示板をみていると、シニアの参加も多いですね、チャットやっている人とか。若い人ばかりだと思っていたんですがそうでもないですね。チャットやっている人の中では、昔パソコン通 信をしている人が多いようですね。今度、ネットミーティングとかやってみようと思っています。」
加 藤 「そうなると電話の機能と、テレビ放送の機能と、流通の機能もできますね。産業革命以来の革命といえますね。しかしそれをみんなが今の時点で享受しているかというと、まだそこまではいってないですね。」

■インターネットで人と人が支え合う時代へ
対談風景02
臼 倉     
「パソコンとテレビが一緒になるという人がいますけど、私は逆にパソコンがあまりに難しいとパソコンだけ切り離されて、インターネットとテレビが一緒になってくると思います。パソコンには使いにくい機能とか、余分な機能とかがありますから。本当にパソコンマニアだったらいいんでしょうけれども、インターネットがテレビでも何でもできるんだったらそれでいいということですよね。」
加 藤「CPUの新しいものが出るとか、周波数のいいものが出るとか、そういう過程の中でいろいろなものが融合されていって、仕事でしか使わない機能とか、マニアしか使わない機能とかが切り離されていくんでしょうね。要は誰にでも使いやすいようになっていくんですよね。」
臼 倉 「もうひとつ別の視点でいいますと、シニアの方は夫婦世帯と独居老人、そのうち女性の一人暮らしが増えてくるんですが、そうなると孤独感や周りとの関係が少なくなってきたりします。そこにインターネットなどがあればいろんな人とつながることができるんです。それだけでも随分状況が変わってきますよね。」
加 藤「そういえば、インターネット魔法瓶というのがでましたよね。使っていると元気だということがわかるという。」
臼 倉 「ネットでは緊急通報ができるとか、体の不自由な方のための支援とか、それをセンターとかにつなげてそこで監視していれば安全ですよね。朝ひと声かけて返事がなければすぐに対応できますし、例えば魔法瓶の場合は朝お湯を沸かしていれば元気だということがわかります。そういうものがカメラやマイクを通 してできるわけですね。」
加 藤「そういう物が素晴らしく便利な社会的なインフラ、世界のインフラとなれば、シニアの方こそ率先して使っていってほしいですよね。」
臼 倉 「そうですね。生活が豊かに、便利に、安心できるようになればバッチリですよね。」


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