はじめに
アクティブシニアゾーン


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吉村 久夫氏 写真

 日経BP社はIT、パソコン分野の専門誌を発行するだけでなく、主催イベントの企画展示を通 じても、最新かつ生きた情報をお届けするよう努めてまいりました。第7回目となる今回のWORLD PC EXPOでは「アクティブ・シニアゾーン」を企画いたしました。
 情報化がもたらす恩恵は、高齢者にも及んでいきます。パソコンやインターネットを生活の一部とする元気な高齢者の増加は、社会の革変を促す要因ともなります。米国では高齢者の情報化が地域経済に活力を与え、地域福祉や生涯学習が新しい経済活動の分野として期待されています。
 また米国では、高齢者の情報化を推進した原動力はNPO(非営利団体) だと言われています。今回、ご協力いただいた仙台市は、高齢者のパソコンボランティア活動で知られており、国内におけるシニアの情報化を支援するNPOのモデルケースとなっています。企業が製品・サービスを開発し、NPOが推進していく構図の中で、我々出版社は今回のように広く関係者が出会う場をつくることで貢献したいと考えました。
 ご来場の皆様に高齢者とパソコン・インターネットの出会いがもたらす新しい時代の大きな可能性を感じていただけましたら、主催者として望外の喜びです。

日経BP社 代表取締役社長
吉村 久夫

 

横線 アクティブ・シニアゾーンによせて 横線

藤井 黎氏 写真

藤井 黎

仙台市長
 仙台市では、シニアの方々のパソコン・ボランティア活動が大変盛んであり、本市も従来から応援してまいりました。その成果 のひとつとして、政府主催のインターネット博覧会に「シニア・パソコン・ボランティア」をテーマに、本市とシニアの方々のボランティア団体、民間企業が協力して、パビリオンを出展し、好評を博しております。これらの活動が、今回「WORLD PC EXPO」に自治体として初めて参加するきっかけになったことを、大変うれしく思っております。このたびの本市の参加によって、シニアの方々のパソコンボランティア活動が広く皆様に紹介され、その輪が、さらに大きく全国・全世界に拡がっていく一助となれば幸いです。

野口 正一氏 写真
野口 正一 電脳仙台市民協働プロジェクト委員長
 仙台市のインパクパビリオン「仙台学舎」では、シニアボランティアによるパソコン講習のノウハウをくわしく紹介し、全国のIT講習会に関わる講師や企業と交流しています。インパク参加をきっかけに生まれた本プロジェクトでは仙台市が中心となって地元企業と市民団体が協力する新しい試みです。企業と地域社会との連携が地域の情報化を推進する人材を育成し、異なる分野との人間交流が、地域経済に新しい刺激を与えています。仙台では生涯学習や地域福祉といった分野の情報化に、それぞれの地域が持つ歴史や文化、精神風土を理解している地域のNPO(非営利団体)との連携が大きな成果 をあげています。
 ワールドPCエキスポアクティブシニアゾーンにご来場された皆様が、今後急激に増大するデジタル機器やサービスの高齢利用者への理解を深めていただけることを願っております。

鈴木 健氏 写真
鈴木 健 財団法人ニューメディア開発協会 理事長
(メロウ・ソサエティ・フォーラム 代表幹事)
 情報通信技術を活かして高齢者の知恵や知識を地域に還元していただける社会づくりを目指そうというメロウソサエティ構想を、経済産業省は旧通 商産業省時代より推進してきました。とりわけ60歳からの起業を支援するシニアベンチャー事業や沖縄で開催されたシニアネットワーク国際会議は、大きな反響をよび、こうしたシニアネットの活動を支援しようという動きは全国に広がってきました。ワールドPCエキスポ初のシニアゾーンの試みは、日本が直面 しているいくつかの切実な課題のひとつである、高齢化に情報通信技術がいかに貢献できるかというすばらしい事例です。参加される多くの企業や市民団体の皆様のさらなるご活躍とご発展を期待しています。

ルース・ギャレット氏 写真
ルース・ギャレット 元シニアネットサバナディレクター
バンダービルト大学医学部老年医学部長
 私がジョージア州サバナ市で全米最大のシニアネット学習センターを主宰するボランティアとしてICS研究会にお招きいただいて、日本の皆様にその活動内容をご紹介してから6年の歳月が流れました。
 世界一の速さで高齢化の進む日本にこそシニアネットのような市民相互が支援するパソコン学習の機会が必要だと考えた皆様が、無料の高齢者のパソコン教室を郵便局や電話局で地方自治体、教育委員会と市民ボランティアが協力しあって実施されたと聞いて、心から感動しています。アクティブシニアゾーンでそうした方々が出会い、交流されるのはさらにすばらしいことです。
 老いることを人間の人格形成の発展ととらえ、高齢者を尊敬するアジアの伝統文化に私たちもインターネットを通 じて学ばせていただきたいと願っております。

中島 洋氏 写真
中島 洋 インターネット博覧会(インパク)
政府企画プロデューサー/日経BP社編集委員/
慶応義塾大学教授/国際大学グローコム客員教授
 インターネット博覧会(インパク)は去年の12月31日から1年間の予定で、インターネット上で各種のイベントを行う世界初の試みであり、9月で出展サイト数は500に達しようとしています。その狙いは、インターネットに馴れ親しんでいる若者はもちろん、これから始めようというシニア世代にまで、魅力あるコンテンツを提供すること にあります。
 一方、WOLRD PC EXPOのようなリアルイベントを通じて、シニア世代にITやデジタルの世界を実体験してもらうことにも大きな意味があります。なぜならこの世代の豊富な知識や経験は、リアルとバーチャルの双方のネットワークを通 じて交流し、地域を越えて結びつくことによって、新たな知的財産を生み出す可能性があるからです。今回の企画はそういったシニア世代のネットワークへの参加の様子を具現化したモデルケースとなるでしょう。

塚田 啓一氏 写真

塚田 啓一

電子情報通信学会ICS研究会委員長
神奈川工科大学客員教授
 ICS研究会は利用者の立場で情報通信サービスを研究する会です。技術開発や情報通 信政策立案に関わる方々と企業や家庭の通信サービスの利用者が共同研究をしています。最近では特に、高齢者や障害者の立場からインターネットやモバイル通 信といった新しい情報通信サービスの利用促進のあり方について、老テクプロジェクトが海外から講演者を招いてセミナーを開催してきました。日本人の4人にひとりが65歳以上になり、500万人の高齢者がひとり暮らしをするという時代はもうまもなくやってきます。大きな時代の変化に対応するために立場を超えた連携を可能にする学会の活動が市民の皆様に開かれたことを本当に喜んでいます。


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シニア・パソコン・ボランティア 仙台学舎