April 15, 2005

秀英体研究

DNP さんの『秀英体研究』のサイトです。

DNP 秀英体研究
シンプルかつ濃ゆい内容です。

書籍はsmtにあります。

Posted by kazy at 01:47 PM

September 21, 2003

知ってるよ…、カッパン

ブレスト2の中で、
「カッパンのことを知らない一般大多数のかたがたにカッパンとか江川アーカイヴを伝えるとっかかりはなんかないかしら」
とか言いましたが、一般の人がカッパンや活字という語を目にするであろうわずかな機会を記しておくことは、アーカイヴのインターフェイスづくりや活版工房自体の広報に役立つかもしれません。
ほんとにわずかだけどあげときます。

・『銀河鉄道の夜』のジョバンニくん
・映画「海の上のピアニスト」

えー、こんだけ?

Posted by kazy at 08:22 PM

「活字文明開化」展

東京の印刷博物館さんで、いよいよ
「活字文明開化 本木昌造が築いた近代」展が開催されます。
10月7日から2004年2月13日まで。

軟派な「文字展@smt」と違って硬派な内容ですが、本木昌造・活字復刻プロジェクト(リンク先下のほう)のお披露目も兼ねているので、きっとすごいことになるでしょう。
昨年幸いこのプロジェクトの中間発表を仙台市内で見ることができ、彫師さんが小さな黄楊の木に原字を彫っているところを目の当たりにしただけに、成果が気になります。

Posted by kazy at 08:13 PM

活字からDTPシステムへ

活字からDTPのシステムへの技術の受け継がれかたは、いろんなところから見ることができますが、私はTeXという組版システムが、カッパンからの技術、コンセプトの継承が色濃くわかりやすいかたちでなされていると思います。
それは開発者のKnuth博士が、TeX開発の際に、組版の歴史を学んだ上で開発したこともあるでしょう。(TeX年表)

理系の人以外にはなじみがないと思われるTeXですが、この前久々にTeXの入門書を見ていて、こんな記事にであったりして、思いが新たになったりしたのでした。コンピュータ関連の本に、活版のことがこれだけ書いてあるのも珍しい。TeXで組んだ文書を見たければ、笹木まで。

「活版印刷とTeX」…神代英俊、長島秀行『TeXの基礎』2002年 ソフトバンクパブリッシング 3ページより引用

「活版印刷とは、出版物の大きさに組まれた枠に1文字ずつに分かれた判子(活字)を並べ、ページ全体を大きな判子として、印刷していく技術です。文字と文字、あるいは文字を記号類の間に空白が必要な際は、「クワタ」(英語のquarterが語源といわれています)と呼ばれる詰め物を挿入しました。手書きの原稿を基に、「スダレケース」と呼ばれる活字棚から活字を拾い集める職人さんを「文選工」といいます。文選工は左手に文選箱と原稿を持ち、右手で活字を拾います。熟練した文選工は1分間に30文字以上を拾うことができるそうです。

TeXで採用されている「ボックス&グルーモデル」は、活版印刷の仕事を模倣することで生まれた技術です。活版印刷における判子がTeXではボックス(箱)と、間に挟む詰め物がTeXではグルー(糊)と呼ばれます。通常の使用においてユーザがボックスやグルーの大きさを意識することはありません。ユーザはTeXの記法を習得しさえすれば、活版印刷並みの品質を持つ文書を作成できるのです。」

Posted by kazy at 07:51 PM

活字からデジタルフォントへ

活字およびカッパンのシステムが過去の遺物ではなく、現在のDTPやデザインの世界につながっている、ということは常日頃カッパンまわりで言っていることですが、それを体現しているごっついものが朗文堂さんから立て続けに出されています。

古書から新たにおこしたデジタルフォント、フォントの系譜をたどる書籍と、どれもハードですが、活字からのつながりを大事にしているのが感じられます。本を見たい方はどうぞ。

「和字 Revision 9」
『欧文書体百花事典』

Posted by kazy at 07:24 PM

June 26, 2003

活字って?

ところで、
一般に向けてコンテンツを公開するときに、
そもそも『活字ってなに?』という問いにまず答える必要がありますね。
ちょっと辞書を調べてみましょう。

『日本語大辞典』(講談社)より
1 活版印刷に用いる文字を左右反対に浮き彫りにした角柱。活字合金を母型に流し込んで鋳造する。種々の書体があり、大きさの規格として号数とポイントがある。printing type
数え方 一本。
2 活字で印刷した文字。印刷物。printed matter

『活字離れ』なんていう言葉でなれ親しんでいるのは2のほうでしょうね。
しかし『離れ』たといっても、日本で本格的に活版印刷事業が始まるのは明治の本木昌造さん以降なので、
(それ以前はつくって出版はしていても技術として未完成)
実はそれから150年もたってはいないのですー。

このへん上の説明ではおぎないきれない部分ですよね。
当然のように活字、活字というけれども、
日本においてはそう古い技術ではないということ。
(まあ、150年をどうとらえるかにもよりますが…)

ちょっと考えるとあーそうか!!と気づくことですが、
活字の母型をアルファベット26文字×2(大文字と小文字)つくればすむヨーロッパと、漢字とひらがなとカタカナぶん大量につくらなければいけない日本とでは、活版印刷事業にかける労力がまるで違う。ので、活版印刷事業が軌道に乗るまでにはアルファベットの文化圏では考えられないむちゃくちゃな苦労があった。

江川活字製造所その他、日本語の活版印刷の設備を前にくらくらしてしまう人がいるとして、それはきっと私たちが普段使っている日本語のシステムの不思議さが大量の活字という目に見える形になって、圧倒的な物量でせまってくるからではないでしょうか。

しかし、その物量はいま、デジタルデータとして目には見えないものになっています。

Posted by wadm at 09:52 PM