ハコダテ スローマップHP
http://www.slowmap.org/index.shtml
ハコダテ スローマップ ウェブ版
http://www.slowmap.org/map/
smtのスタジオ・トークセッションのコーディネーター渡辺保史さんがこのプロジェクトのメンバーになっています。
方法論、インターフェイスのデザイン、協力してくれる人の集めかた、、
参考になること多そうです。
デジタル・アーカイブ化という事業には、
一般にどのような期待がもたれているのでしょうか。
JDAA(デジタルアーカイブ推進協議会)HPでは、
次のような説明がされています。
(デジタルアーカイブ構想/社会的背景をお読みください。)
http://www.jdaa.gr.jp/prj/prj.htm
1. は既にある文化財を新しいメディア、新しいテクノロジーを使って(具体的にはWWW上で)どうこうしよう、という話、
2. はデジタルアーカイブ化そのものが地域のリソースの掘り起こしの手段であるという話、また地域の広報の手段であるという話、
3. はビジネスになりますよ、という話、
と短く(いくぶん勝手な解釈で)まとめることもできます。
(なんとなく、これは送り手側の期待なのではないか、
という気がしないでもないのですが、それはそれとして、)
上を参考に今回のプロジェクトについて考えてみたいと思います。
今回のプロジェクトはもともとは 1. 的な発想からスタートしたものですが、
(江川活字製造所が閉店してしまう、東北から活字屋さんが消えてしまう、
何とかしてここの鋳造機や活字を残したい…)
プロジェクトを進めていくスタンスとしては、2. がいいだろうと考えています。
つまり、
街の活字鋳造・販売所を活字研究といった文脈で考えて、
ここが貴重な場所だから何らかの手段で保存するんだ、
ということではなく、
仙台という街の中で(あるいは東北というくくりのなかで)
活字屋さんはどういった役割をはたしていたのか、
江川活字製造所を記録することで、仙台の街をみてみようという。。
具体的には、
江川活字製造所は以前は東京の江川活版製造所の支店だったのですが、
終戦の年に江川活字製造所として新規開店し、
戦後の仙台の復興から、宮城県沖地震という大きな事件を経て、
現在にいたっているので、
江川活字製造所の歴史を記述するということは、
そのとき街はどうだったのか、ということを記述することに
重なってくると思うのです。
=地域のリソースの掘り起こし、、ですね。
ところで、
一般に向けてコンテンツを公開するときに、
そもそも『活字ってなに?』という問いにまず答える必要がありますね。
ちょっと辞書を調べてみましょう。
『日本語大辞典』(講談社)より
1 活版印刷に用いる文字を左右反対に浮き彫りにした角柱。活字合金を母型に流し込んで鋳造する。種々の書体があり、大きさの規格として号数とポイントがある。printing type
数え方 一本。
2 活字で印刷した文字。印刷物。printed matter
『活字離れ』なんていう言葉でなれ親しんでいるのは2のほうでしょうね。
しかし『離れ』たといっても、日本で本格的に活版印刷事業が始まるのは明治の本木昌造さん以降なので、
(それ以前はつくって出版はしていても技術として未完成)
実はそれから150年もたってはいないのですー。
このへん上の説明ではおぎないきれない部分ですよね。
当然のように活字、活字というけれども、
日本においてはそう古い技術ではないということ。
(まあ、150年をどうとらえるかにもよりますが…)
ちょっと考えるとあーそうか!!と気づくことですが、
活字の母型をアルファベット26文字×2(大文字と小文字)つくればすむヨーロッパと、漢字とひらがなとカタカナぶん大量につくらなければいけない日本とでは、活版印刷事業にかける労力がまるで違う。ので、活版印刷事業が軌道に乗るまでにはアルファベットの文化圏では考えられないむちゃくちゃな苦労があった。
江川活字製造所その他、日本語の活版印刷の設備を前にくらくらしてしまう人がいるとして、それはきっと私たちが普段使っている日本語のシステムの不思議さが大量の活字という目に見える形になって、圧倒的な物量でせまってくるからではないでしょうか。
しかし、その物量はいま、デジタルデータとして目には見えないものになっています。
デジタルアーカイブなので、
どの素材をどう保存するか、を考えてから聞き取りに赴かねばなりませんね。ムム
一応想像できる限り
●聞き取り
◎撮影/(静止画をとるための)
○ネガ(店内の様子90枚ほどは撮影済み)→デジタル
○その他のデジタル画像
◎撮影/(動画をとるための)
○映像
◎録音(映像用の音をとるための/テキストにするための)
○映像とあわせて粗編→映像ソース
○テープおこし要約→text→html
記録の方向性とその後の展開のために
どのようなアプローチの仕方があるか考えてみる。
●民族誌学的アプローチ
(フィールドワークに近いインタビュー)
成果物○テキスト及び聞き取り時に発生するもろもろ(音声・映像等)
●民俗学(?)的アプローチ
職人さんが持っている身体知のマニュアル化は可能?
●活字をオブジェとして見る
物体としての活字を活版印刷の文脈から離れたところで見る
(活字を今後にいかすsmt的方法論)
手法○WS等?
江川活字製造所の記録
仙台・江川活字製造所の人・もの・場所
街のいちノードとして活字屋がはたしていた役割を記述する。
1●場所
WHAT◎物理的空間の記述-1○江川活字製造所の内部空間
WHERE図面上に
HOW建築の人の助けを借りて3D/イラストレーターの力を借りて2D/VR
WHAT◎物理的空間の記述-2○江川活字製造所の地理的場所(江川活字製造所周辺の町並みの変遷)
WHERE地図上、時間軸上に
HOWインタビュー及び資料調査
2●もの
WHAT◎活字の流通の記述
WHERE印刷業界のマップ上に
HOWインタビュー及び文献調査
3●人
WHAT◎江川活字製造所の人の記録
WHERE時間軸上に
HOWインタビュー及び文献調査
+活版印刷のシステムにまつわる問題の考察
いかに活版印刷の技術が死んでいったか?
現代の印刷をめぐる状況との接点は?
『C/P』(カルチャー・ポケット…大阪市文化振興事業実行委員会発行の月刊情報誌)の2003年7+8月号にNHKアーカイブスの特集が組まれています…といっても3頁ですが…。
NHKアーカイブスは埼玉に今年2月オープンしたばかりの施設。
http://www.nhk.or.jp/nhk-archives/main.html
http://www.nhk.or.jp
(個人的な話ですが)
大学でWS(ワークショップ)を記録する機会があったことがそもそものはじまり。
私の在籍していた学科では、
毎年夏休みに大学周辺地域の小学生を大学に招待し、
2日間つかって造形のWSを行っていました。
企画運営は学生、
地域のお母さんが実行委員会をつくってこれをサポート。
資金は大学のお金。(授業の一環なので。)
これを毎年さまざまな方法で記録しているのですが、
●ノウハウがある程度蓄積される
●記録の成果物が広報の道具になる
●自分達の企画を記録する過程でフィードバックがある
という点で記録が大変重要と思いましたのであります。
とくにこういったWS、楽しいは楽しいのですが、
どう楽しい、とかなぜ楽しい、とかいうことを人に伝えるのが大変だったり、
WS自体は成果物ができることが目的ではなかったりするので、
継続してやるためには記録があると大変便利と思ったのであります。
江川活字製造所を記録することから多少話がずれるように思えますが、
個人的な事物、
(WSの場合は体験、江川活字製造所の場合はこの店の人、物、場所の記憶)
を、共有の財産にかえていく、という意味では同じではないでしょうか、
いかがでしょう。
smtのアーカイブになるということは、
●アーカイブとは何か、
●smt(せんだいメディアテーク)のアーカイブとはどんなものか、
の議論も必要ということになります。
いまのところsmtの方では、
アーカイブをどのように構築していくか、について、
どのようにお考えなのか、職員の方々の間で共通認識はあるのか、
うかがってみたいところです。
アーカイブ費という名目でお金が動いているので、
いままで何らかのものはたまってきているのでしょうね。
それってどういうものなのでしょう。
これもうかがってみたいところです。