定義如来参詣道中唄  



 この道中唄は、仙台から定義まで徒歩で参詣した頃の地名を折り込んで唄われたものである。
 歌詞に示すように新道燧道は明治十七年、関庸孝によって開鑿されたものであるから、明治初期頃から歌われたらしい。(宮城町史より)


時は旧七月六日のことよ、
定義詣りと二人連れ、
八幡町を後にして、落合茶屋にて腰をかけ、
これゝゝ申しお花ちゃん、
これから定義に幾里ある、
そこで花ちゃんの申すには、
定義様まで五里と半、
それでは花ちゃんさようなら、
竹は無ぐとも大竹よ、
急げば早くも二本松、赤坂小坂もひと登り、
青の木茶屋でひと休み、日も西山に傾いた、
八枚たんぼを下に見て、
昼もさびしい夜盗沢
新道燧道を通り抜け、
見上げて見えるは高柵よ、
大倉日向の切払、天狗橋より天狗茶屋、
小田や石子や石名窪、
とぜんで通るはやまぎわよ、
海老沼、曲戸(まがと)に栗生沢、
地蔵菩薩を伏し拝み、
としは古いが若林、千本杉とは此処なるか、
夏も涼しいひやっこ沢、
何時もどんどと滝の上
はや高森に登りけり、
小手をかざして眺むれば、
矢籠部落に大原よ、
うしろは獅子込おうとどよ
地蔵平の賽の河、一の鳥居は高見沢
定義の里に着きにけり、
五三のキザハシ登りつめ、
二人揃うて手を合わせ、
これゝゝ申し如来様、
この縁結んで賜われと、
二度も三度も伏し拝む、
アリヤラソコレハノセイ
サゝヤレサソノセイ


八幡町から定義までをあらわした絵図面