October 07, 2003

記録と表現

という名前の展示/シンポジウム/ワークショップが
ICC
で開催されるようです。

http://www.ntticc.or.jp/Calendar/2003/kirokutohyougen/index_j.html

Posted by kazy at 06:22 PM

September 08, 2003

返信

下の原田さんからのメールへの庄子の返信です、


はせべりゅうけい先生について、興味深いお話をありがとうございます。

長谷川りゅうほう先生の遺品は是非一度拝見したいです。
今度また訪ねる機会がありましたら、是非誘ってください。
はせべりゅうけい先生の作品も是非いちど拝見したいものです。


さて、私の方で少し気になった点をいくつか。


まず感想としては、なんでもかんでもアーカイブ、という状況になってきたな、ということです。

きっと今後、smtのまわりで何かをアーカイブにしたい、というお話はごろごろ出てくると思っているのですが、そしていま実際いくつかのお話をちらちら耳にはしていましたが、

従来、デジタル、でなくアーカイブをおこなう場合は、物理的な収蔵スペースや管理の問題があって、物を収蔵する、ことを軽々しくできる状況ではなかったわけです。
(実際自分の部屋でも同じことですが、何か物を増やしたら何かは捨てなければいけない、取捨選択をしなければいけない、、)

で、状況がデジタルアーカイブということになったとき、そういう物理的な制限があってできなかったことができるようになる、なんでもアーカイブにできる、という状況も生まれると思うのです。
(収納スペースが広がったから物をとっておけるという発想、)

で、例えば、そういった雑多な情報もピンからキリまでとっておいて、そういった情報のプラットフォームとしての機能をsmtがはたす、という発想は、あると思うのです。情報ががあっとあってデータベースになっていて検索できる画面がある、というシステム。コンテンツづくりは、外部の人たちががしがしやって、完成度がどうこうという話はしないで、smtはのっけるだけ、というような。

それとは別に、smtがある程度主体的にアーカイブづくりに取り組む、という発想があると思います。smtが提供すべきコンテンツを自館でつくっていって提供する。展示のデジタル版というような。どの主題を、どの切り口で扱うのかについての取捨選択が行われるような仕組み。この場合、基準づくりがまず行われる必要があると思いますが、でももちろん、smtの事業がある意味基準がないような現状で、アーカイブ事業のみに基準を設けるのはむずかしいのでしょうね。

そういう、館の方針もまだできていない状況で、テストケースとはいえフライングでプロジェクトをはじめている不安というのをすごく感じています。館のお金を使っていることですし。ただ当初は、上の話をからめつつ、進めよう、というお話だったはず。このへん、本当にきちんと議論していかないと、江川のプロジェクトでたとえなんらかの成果物ができても、できたものが全体の中でちゅうぶらりんでは、庄子としてもとても心苦しいのです。そのあたり、笹木さん、いかがでしょう。

なので、江川のプロジェクトでさえこころもとない今、めったやたらにアーカイブというくくりでほかのことに手を出すのはちょっと躊躇してしまいます。長谷川りゅうほう先生の遺品に関しては、物がどんなものかまず、見てみていろいろ考えたいです、原田さん。なにせ個人のコレクションですから。。もしかしたら、物によってはsmtではなくほかの館の守備範囲かもしれませんし。



先日、江川活字を訪れた際にあらためて感じたのは、あの、場所に、私は何か感じるものがあるのだなあ、ということです。江川活字のあの空間に私は個人のお店ながら、パブリックな何かを感じているから。文字が人間をつくってきた、読むという行為は人間をある意味人間にしている、それを支えてきたのが印刷文化だとして、それを、直感的に理解できるのがあの空間だと思っているのです。自分が人間にしている文字を読むという日々の営みを支えていた空間。DTPでは、あれほど直感的にわかる、ということを経験できないと思う。。ほんとうに、そこの部分が一番伝えたいことなのですが。。。

というより、そこのところがいえないと、(人間と、メディアとのつながり、という部分、)あまりsmtでやる意味がないとおもうのです。ただ、個人の古いお店を取材する、というだけでは。。そんなものは仙台にいーっぱいあるわけですから。。。


もともと、江川活字がなくなってしまって、貴重な物品を保存しておきたいという小泉先生的な発想からスタートした、このプロジェクト、と思われているかもしれませんが、私はこれらが、それぞれ物品として貴重だ、という意識はあまりありません。
(もちろん、江川活字の方々が考えているように、これがどこかの博物館やらに収蔵されれば、それはそれで幸せな結末と思うのですが、だってそれが済谷川さんご一家が望んでいることだから)


だから、聞き取り、というのもそれが目的なのではなく、その結果、江川活字のパブリックな側面が描きだせればなあ、と思っているのですが、すごく遠回りをしている感覚があります。もっといい方法があるのかもしれない。


日々、そんなことを考えています。難しいですね。。。

Posted by wadm at 12:43 AM

文字に関する新情報

8/25に原田さんからいただいたメールを転載します。(了承はいただいています。)


こんばんは、原田です

今日、仙台にて書道の分野でご活躍されている
はせべらんけい先生 のご自宅におじゃましてきました

はせべ先生は筆文字と紙というありきたりの書法にこだわらず、
石や木などの素材に文字を彫るなどいろいろな手法を模索しており
あまり偏ったものも見方ではなく、
私なんかから言わせれば「現代美術」的な要素をもっている方です
個展なんかも定期的に開催されています

それで、結論から話ますが、
はせべ先生の師匠であった 長谷川りゅうほう先生の遺品を
(というよりも、単純に譲りうけたものでしょうか、、)
拝見してきたのですが、、、、
これがすごいんです!!

ガリ版という手法になるのでしょうか
ちょっと私も勉強不足でなんともいえないのですが、
昭和初期に1万5千円した本、限定版楷書辞書、1点もの
大正時代の雑誌(これがA2ぐらいのサイズで和とじなんです)
まったくすばらしく美しいものがそのへんにごろごろと
置いてありまして、、、

活字とはまた違った視点なんですが、
仙台・文字・印刷 などのキーワードにつながる
これこそ掘り起こしてアーカイブするべき品々だと思います

はせべ先生も「値打ちのあるものだとわかっていながら
(人に言われていながら)きっかけがなくて、、」と
お話されていました

実はちょっとsmtの活版や文字展、江川活字アーカイブの
話をさわりだけしてまして、
機会があったら皆さんで訪問、物色などしたいと思っています
いかがでしょう、、、


-----原田紀子

Posted by wadm at 12:40 AM

August 18, 2003

技の保存

江川活字のアーカイブの話をしていくと、どうしてもここにたどりつきます。
活版印刷の技術を、私たちはどのように考え、どのように残すのか。

聞いた話なのですが、
工業デザイナーの故・秋岡芳夫さん(もと東北工大の先生だったそう)が収集した2万3千点を超える膨大な生活用具が、北海道常呂郡置戸町のオケクラフトセンター森林工芸館の秋岡記念館に収蔵されていて、ここではただ物を保存するだけではなく、展示・教育にも力を入れていて物のまわりの技を残す、という視点があるそう。
これはやはり秋岡芳夫さんの考え方なのでしょうね。秋岡さんの活動(著書も多いそうですし、ネットで検索をかければぞろぞろ出てくる)をざっと見るとなるほどと思うのですが。ほかにそのとき聞いた話では、青森県大野村での活動というのもあります。

smtに活字があるのは半ばなりゆきとはいえ、(活版WSは行われてはいても)やはりただ漫然と抱えこんでしまっているような印象はあります。興味を持つ人はまだまだいるはずなのに。。
これからこの財産をどう生かすのか。もしかしたら活版印刷の技が消えてしまえば、これらは財産とはいえなくなるのかもしれない、という危機感が、いまあまり感じられないのが、残念なところです。(たとえば、鈴木さんや菊地さんといった活版印刷の技術を持っている方に甘えることのできない状況になったら、活版印刷研究会の活動はストップする?)
趣味の範囲で葉書を作ってもらうWSだけではなく、やはり活版印刷はメディアをつくるための技術だったわけですから、smt地下発の新聞をつくるとか、(それを街ネタとからめたり、)積極的に発信のための道具として使いつつ、技を習得し、できる部分はマニュアルに落として長く使えるような工夫をするといった、これからにつながるようなことを考えるべき、と思うのですが。。。

Posted by wadm at 01:26 AM

July 10, 2003

美術系アーカイブ

http://www.dnp.co.jp/artscape/knowledge/it/0306/kageyama.html

あたりまえのことですが、
何を目的として「アーカイブ」づくりをしているかによって、
また「アーカイブ」づくりをしている機関の性格によって
「アーカイブ」という言葉の使われ方もさまざま。。
カタカナ語ってこういうとこ便利ですね。

なんか新しいことやってそうな気になれるし(笑)
(デジタルアーカイブ、流行り言葉だから。)
こういうところ、アート、なんていう言葉の使われ方とよく似ています。

でも、実際はすごく基本的なことやっているだけなのですが。
収集・保存、という概念は大昔からあって、
どの機関が(そしてコレクターという名の個人が)、
何をどのように収集・保存するのか(あるいはしないのか)、というのは、
いまにはじまった話ではありませんからね。

ただ、デジタルアーカイブを考えるとき、
従来型のアーカイブをデジタルに置換えるうまいやり方の構築と、
その際の付加価値は、という話になってしまうとちょっと、つまらない。

個人的にはそれだけではなく、
今までの収集・保存に対する考え方そのものに、ずばずば切り込んでいくような、
仕組みとか、企画とか、面白いと思っています。
貴重品を一ケ所にかこっておくという場合、
そもそも貴重品て誰がどう決めるの?とか、
なぜかこっておこうとするの?とか、
みんながありがたがって博物館とか美術館とかにそれを見にぞろぞろ出かけていくってどういうことなの?とか。

Posted by wadm at 09:21 PM

July 07, 2003

地元学

宮城県の事例もでています。
http://www.ruralnet.or.jp/syutyo/2001/200104.htm
『主体と対象とが切り離されたたんなる「調査」や「科学」ではなく、個別的な主体が個別的な対象の中に入り込み、働きかけ働きかけられて相互に豊かになっていく実学』

今年もやるそうですがsmtの仙台八景も↑をやるための優れた手法と思います。

(個人的に)
江川活字製造所を大真面目に記録することで、知らなかった仙台を発見したい、と思うのは、
私が仙台で生まれ育ちながら、ここに生きている感じがいまいち稀薄なせいでしょうか。
上の文章に出てくる『もやい直し』が個人レベルで必要なのかも。

Posted by wadm at 05:19 AM

June 25, 2003

NHKアーカイブス

『C/P』(カルチャー・ポケット…大阪市文化振興事業実行委員会発行の月刊情報誌)の2003年7+8月号にNHKアーカイブスの特集が組まれています…といっても3頁ですが…。
NHKアーカイブスは埼玉に今年2月オープンしたばかりの施設。

http://www.nhk.or.jp/nhk-archives/main.html
http://www.nhk.or.jp

Posted by wadm at 02:43 AM

記録に興味をもったわけ

(個人的な話ですが)
大学でWS(ワークショップ)を記録する機会があったことがそもそものはじまり。

私の在籍していた学科では、
毎年夏休みに大学周辺地域の小学生を大学に招待し、
2日間つかって造形のWSを行っていました。

企画運営は学生、
地域のお母さんが実行委員会をつくってこれをサポート。
資金は大学のお金。(授業の一環なので。)

これを毎年さまざまな方法で記録しているのですが、
●ノウハウがある程度蓄積される
●記録の成果物が広報の道具になる
●自分達の企画を記録する過程でフィードバックがある
という点で記録が大変重要と思いましたのであります。

とくにこういったWS、楽しいは楽しいのですが、
どう楽しい、とかなぜ楽しい、とかいうことを人に伝えるのが大変だったり、
WS自体は成果物ができることが目的ではなかったりするので、
継続してやるためには記録があると大変便利と思ったのであります。


江川活字製造所を記録することから多少話がずれるように思えますが、
個人的な事物、
(WSの場合は体験、江川活字製造所の場合はこの店の人、物、場所の記憶)
を、共有の財産にかえていく、という意味では同じではないでしょうか、
いかがでしょう。

Posted by wadm at 01:33 AM

アーカイブとは

smtのアーカイブになるということは、
●アーカイブとは何か、
●smt(せんだいメディアテーク)のアーカイブとはどんなものか、
の議論も必要ということになります。

いまのところsmtの方では、
アーカイブをどのように構築していくか、について、
どのようにお考えなのか、職員の方々の間で共通認識はあるのか、
うかがってみたいところです。

アーカイブ費という名目でお金が動いているので、
いままで何らかのものはたまってきているのでしょうね。
それってどういうものなのでしょう。
これもうかがってみたいところです。

Posted by wadm at 01:32 AM