September 21, 2003

活字からDTPシステムへ

活字からDTPのシステムへの技術の受け継がれかたは、いろんなところから見ることができますが、私はTeXという組版システムが、カッパンからの技術、コンセプトの継承が色濃くわかりやすいかたちでなされていると思います。
それは開発者のKnuth博士が、TeX開発の際に、組版の歴史を学んだ上で開発したこともあるでしょう。(TeX年表)

理系の人以外にはなじみがないと思われるTeXですが、この前久々にTeXの入門書を見ていて、こんな記事にであったりして、思いが新たになったりしたのでした。コンピュータ関連の本に、活版のことがこれだけ書いてあるのも珍しい。TeXで組んだ文書を見たければ、笹木まで。

「活版印刷とTeX」…神代英俊、長島秀行『TeXの基礎』2002年 ソフトバンクパブリッシング 3ページより引用

「活版印刷とは、出版物の大きさに組まれた枠に1文字ずつに分かれた判子(活字)を並べ、ページ全体を大きな判子として、印刷していく技術です。文字と文字、あるいは文字を記号類の間に空白が必要な際は、「クワタ」(英語のquarterが語源といわれています)と呼ばれる詰め物を挿入しました。手書きの原稿を基に、「スダレケース」と呼ばれる活字棚から活字を拾い集める職人さんを「文選工」といいます。文選工は左手に文選箱と原稿を持ち、右手で活字を拾います。熟練した文選工は1分間に30文字以上を拾うことができるそうです。

TeXで採用されている「ボックス&グルーモデル」は、活版印刷の仕事を模倣することで生まれた技術です。活版印刷における判子がTeXではボックス(箱)と、間に挟む詰め物がTeXではグルー(糊)と呼ばれます。通常の使用においてユーザがボックスやグルーの大きさを意識することはありません。ユーザはTeXの記法を習得しさえすれば、活版印刷並みの品質を持つ文書を作成できるのです。」

Posted by kazy at September 21, 2003 07:51 PM
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