August 18, 2003

技の保存

江川活字のアーカイブの話をしていくと、どうしてもここにたどりつきます。
活版印刷の技術を、私たちはどのように考え、どのように残すのか。

聞いた話なのですが、
工業デザイナーの故・秋岡芳夫さん(もと東北工大の先生だったそう)が収集した2万3千点を超える膨大な生活用具が、北海道常呂郡置戸町のオケクラフトセンター森林工芸館の秋岡記念館に収蔵されていて、ここではただ物を保存するだけではなく、展示・教育にも力を入れていて物のまわりの技を残す、という視点があるそう。
これはやはり秋岡芳夫さんの考え方なのでしょうね。秋岡さんの活動(著書も多いそうですし、ネットで検索をかければぞろぞろ出てくる)をざっと見るとなるほどと思うのですが。ほかにそのとき聞いた話では、青森県大野村での活動というのもあります。

smtに活字があるのは半ばなりゆきとはいえ、(活版WSは行われてはいても)やはりただ漫然と抱えこんでしまっているような印象はあります。興味を持つ人はまだまだいるはずなのに。。
これからこの財産をどう生かすのか。もしかしたら活版印刷の技が消えてしまえば、これらは財産とはいえなくなるのかもしれない、という危機感が、いまあまり感じられないのが、残念なところです。(たとえば、鈴木さんや菊地さんといった活版印刷の技術を持っている方に甘えることのできない状況になったら、活版印刷研究会の活動はストップする?)
趣味の範囲で葉書を作ってもらうWSだけではなく、やはり活版印刷はメディアをつくるための技術だったわけですから、smt地下発の新聞をつくるとか、(それを街ネタとからめたり、)積極的に発信のための道具として使いつつ、技を習得し、できる部分はマニュアルに落として長く使えるような工夫をするといった、これからにつながるようなことを考えるべき、と思うのですが。。。

Posted by wadm at August 18, 2003 01:26 AM
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